今週のお題「好きなおやつ」
ビックリマンチョコと、さみしさこもる5000円
好きなおやつ。
何でも好きだけど!
でも、ただ、おやつ自体をそんなに食べないので、これと言ってあげることができない!!
しいて言えば柿ピーをよく食べます。ピーナツは最後に食べます。好きな物最後に食べる派です。
さて、小学生のころのことです。
あのころ、ビックリマンチョコがはやった。後発で「ラーメンばあ」というのも登場した。
ビックリマンチョコの販売価格とシールサイズの推移、歴史まとめ | ビックリマンシール、ウエハースカードまとめ情報サイト
ビックリマンチョコはチョコが挟まってるウェハウスで、ラーメンばあは、ベビースターを板状に固めたようなもの。
ラーメンばあをお湯に入れてラーメンにならないかなあと試したことある人いませんか?やってみたけど、もう1回やろうとは思いませんでした。
それで、ビックリマンもラーメンばあもシールが入っているからそれ目当てで買うのが本音。ひどいやつはシールだけとっておかし食べずに捨ててるやつもいた。
「ヘッドロココ」とかなつかしいなあ。
だから「好きなおやつ」として買うというよりも、好きなキャラ集めになる。
ところで、ぼくのうちから一番近くにSくんという同じクラスの子が住んでいた。
彼は学校一足が速く、短距離も長距離もダントツで右に出るものはいないという、すごい運動能力を持っていた。
小学校6年間、だれにも負けず、1500m走も毎年2位と100m以上の差をつけて6年間オール1位。
1度は序盤で片方の靴が脱げたのに、片方だけのまま走り切ってダントツ1位。その時ぼくは2位。くやしさを通り越してあきれてました。
そんなSくんは普段ぼくにしょっちゅういじわるしてきた。石けりで鬼を押し付ける。仲間はずれにする。ひどい時はナイフで向かってきたこともある。
その時は紙を棒状にしぼって「かかってこい!」と応戦。それで負けなかった。
なんとなく本気を出せば気持ちで彼には負けないという気がした。
そんな関係だったので、なるべく一緒に帰りたくないんだけど近所だからどうしても帰りに一緒になってしまうことがある。
一緒に帰っていたある日、Sくんが立ち止まって、
「ねえ、内緒なんだけど、この前ここで1000円見つけたんだよ。」
と下校途中のある駐車場で話しかけてきた。
その駐車場は廃材やさび付いた機材などが雑多にわきにおいてある、車が2台くらいとまれるブロック塀で囲まれた駐車場だった。
S「また見つかるかもしれないからさ、一緒に探してみようよ。」
と誘ってきたのである。
ぼく「えー!すごいね!いいよ。」
5分くらいいろいろあさっているとSくんが、
「あった!!」
と叫ぶ。1000円札を手にしていた。
ぼく「えー!ほんとだすごいね!」
S「じゃあ、これで何か買おうよ!ビックリマン買おう!」
ぼく「え、い、いいよ。」
帰る道を引き返し、駄菓子屋へ行く。ぼくはまじめちゃんだから気が進まなかったんだけど、またいじめられそうでしたがうことにした。
S「たくさん買っちゃおう。これください。」
と駄菓子屋のおばちゃんに言って、すんごいたくさん買った記憶がある。
店から離れ、中身をあけて自分の好きなシールだけとって残りをぼくにくれた。
お菓子はSくんが全部ひきとっていたと思う。
そしてまた何週間かたったある日。一緒に帰っているとまた一緒にお金を探そうと言う。
ぼく「い、いいよ。」
S「あった!」
とまた1000円札。そして今度はぼくが、
「あった!」
計2000円も見つけたのである。
S「またこれでなんか買おうよ。ラーメンばあにしようよ!」
ぼく「う、うん。」(いやだなあ。また買うのか。)
ラーメンばあを大人買い。たしか20個くらい買ったと思う。ぜったい食べきれない。そして好きなシールをとって、ぼくには5枚くらいをくれた。
(ぼくも半分出したんだけどなあ。)
そしてまたある日。
S「ねえ、ねえ、いつものところでさあ、5000円見つけたんだよ。それで隠してあるんだ。」
ぼく「え!5000円も?すごいね。」
Sくんはぼくをいつもの駐車場の横のアパートの敷地内につれこんだ。塀の下の地面を掘りだすと、そこから5000円が出てきたのである。
「こら!そこで何してる?」
アパートの方からおばちゃんのしかる声が聞こえ、ぼくたちはあわてて5000円を地面に埋めて逃げ去った。
後日、二人でそこに行ったけどもう5000円はなかった。
当時は「お金が見つかるなんてすごいなあ」と単純に思ってたけど、大人になって思うのは、「あれはSが自分で用意したお金で自作自演だったんじゃないか」ということ。
だって都合よくお札がそんなところに隠れているわけないでしょ。
Sは足はすごく速かったけど、泳ぎはぜんぜんできなくて、こっちがすごむと気持ちで負けてしまうところもあった。ナイフに紙で応戦できたのもそれだと思う。
おうちの中もいつも間接照明で暗かったのも覚えているし、経済的には裕福だけど、なんとなく精神的に満たされていなかったのかなとも思うのである。
だから人にいじわるしたり、虚勢をはったりしていたのかなと今になって思うのである。
お金を見つけたというのも、ぼくの気をひいたりすごいところを見せたかったのかなとも思う。
そう考えるとすこしさみしい気持ちになるのです。
Sくんは数年後引っ越してしまい、そのまた数年後あの駐車場はなくなってしまった。近所なので、横を通るたびに思い出します。
Sくん、今頃はきっといいお父さんになっているだろうな。
おしまい
written by SEGE