今週のお題「やったことがあるアルバイト」
日本を旅する人は知ってる3大アルバイトとは?
「シャケバイ」「キャベバイ」「キビバイ」
聞いたことありますか?何でしょう。
ヒントは北から順にです。
この中でぼくが初めて聞いた言葉は「キビバイ」です。
日本を長旅していると出会うアルバイトがある
およそ20年ほど前、ぼくは日本二周ヒッチハイクの旅をしていました。
その中で最も滞在期間が長かったのは2年間の旅の中で、沖縄の計8か月です。
ヒッチハイク、野宿、テントなし寝袋のみ、準備金5万円という旅だったので、冬は沖縄で越さねば寒さに耐えられません。
12月に鹿児島からフェリーで渡って春までの数か月は沖縄で過ごすというプランでした。
「沖縄着いたら現地でバイトしながらアパート見つけよう。」
などと思っていました。
アパート見つけるのが後になっているのは、沖縄についた時点でのぼくの全財産は4332円しかなかったからです。
とりあえず働かないと生きていけない。
ですが、ひょんなことから沖縄に着いた当日、牧場にひきとられました。
那覇の月光荘という安宿の皆さんのおかげです。詳しくは日本二周小説をご覧ください。
その牧場は本島の北部の今帰仁村になる「夢有民牧場」です。
ぼくは着いた翌日乗馬をさせてもらい、全財産だった4332円を払ったので(本当は1万円かかる)、もうそこで働かざるを得ませんでした。
働くといっても食べ物と寝る場所が保障されるだけでお金はもらえません。
たい肥を作って自分で農家に売りに行けばその半額を労働者割でもらえるというシステムはありましたが。
でもたい肥はすぐにできるわけではないので、時間がかかります。
まあ、ぼくは歌うたいなので、1か月したころからライブをいろいろなところでさせてもらい、それで北上するための旅の資金を蓄えることができました。
とにかく、ぼくは春が来るまでそこにお世話になり、長期滞在します。
また、ぼくのような旅人を中心にいろいろな人がその牧場にやってくるので、長期で滞在するといろいろな旅の情報も得られました。
そうした人たちの中では、すでに沖縄に長期滞在していて、ある程度お金を貯めて動き出すという人も多くいます。
沖縄の住み込み長期バイトと言えば「キビバイ」
では本題になりますが、沖縄に長期滞在する旅人がお金を貯めるためにする人気のアルバイトと言えばなんでしょう?
それが「キビバイ」です。
キビ+バイトです。キビって、そうです沖縄といえばサトウキビですね。
キビバイはサトウキビを収穫するアルバイトです。もちろんサトウキビ以外にもアルバイトはありますよ。
沖縄ならではというと、タバコ農家でのアルバイトも結構有名です。
でも圧倒的にサトウキビは多いですね。それには理由があります。
キビバイのよさは何といっても、ただお金をもらえるということだけではありません。
刈り取られたキビを何本もまとめて肩に担いで、集めてトラックに乗せる。それをひたすら繰り返すのでかなり体を鍛えることができます。
住み込みでできることが少ないのでお金もためやすいし、そこで仲間もできたりします。
若い旅人にとっては1石何鳥にもなります。
さて、そうなってくると、ほかの「シャケバイ」「キャベバイ」が気になってきますね。
もうだいたい想像がついてきますか?
「シャケバイ」「キャベバイ」とは
ぼくが初めて「キビバイ」を知ったときは、「シャケバイ」も「キャベバイ」も聞いたことがありませんでした。
ぼくは牧場で働いていて、サトウキビの残骸をもらって家畜のために牧場に持ち帰るという仕事はしていました。
キビバイの人に対してはうらやましさもあり、けん制したい気持ちもあり、「おれも同じくらい担げるぜ」「こっちはもっと複雑な仕事だぜ」という自負もあり、微妙な感じを持っていました。
まあ、お金をもらえてないので、まったくその点ではかなわないのですが。
それで、牧場に来た若者の中にある時、
「おれキビバイだけじゃなくて『シャケバイ』もしたことあるんすよ。」
という人がいました。
「シャケバイってなに?」
「いくらをひたすらとるバイト。」
「まじで!?そんなアルバイトあるの?」
「そうそう。北(北海道)はシャケバイ、真ん中はキャベバイ、南はキビバイっていってね。」
「キャベバイってもしかしてキャベツ?」
「そうそう!!おれはキャベツはやったことないけど、3つ全部やりながら日本をまわっている人もいるよ。」
そうなんです。普通に日本で暮らしているとほとんどそういった人たちとは接点がありませんが、日本にも結構そうやって放浪している人は多いのです。
それはアジアとかだけの話なのかとぼくは当時思っていました。
インドとかに行くと、「沈没」という言葉があって、何か月もおなじ場所にとどまって浸りまくって染まりまくっている旅人がいるものです。
「〇〇はバナラシに半年沈没してるらしいよ。」
なんてことが旅人の中で会話されます。
それが日本にも結構いるんですね。
いや、このぼくもほぼ沖縄に沈没していましたけど。
旅をしながらアルバイトをして日本中をぐるぐるしたり沈没したりを繰り返している人は結構いるということがわかってきました。
夏は涼しい北海道で、冬はあたたかい沖縄でというように季節ごとに移住しながら旅をする人たちが結構います。
これらは農業とか水産業に関する仕事なので、いわゆるリゾバイに比べると地味というかどろくさい、汗臭い感じでしょうか。
自然に近い仕事ができるので、自然が好きな人にはおすすめです。それと1年とか長い期間旅をする場合にもおすすめですね。
仕事としては単調なので、スキー場で働くというような華やかな仕事ではないですが、旅しながら効率的にかせぎたいという時にはいいと思います。
シャケバイをした若者が言うには、「毎日いくら丼食ってた」らしいです。
「でも、毎日いくらを取り出すのやってると、そのうち食べたくなくなる。もう二度と食べたくない。」
とも。
うーん。うらやましいと思いきや、ちょっと残念ですね。
シャケバイ、キャベバイ、キビバイ。ぼくはやっぱりちょっとやってみたかったです。
written by SEGE