今週のお題「復活してほしいもの」
復活したおぼんこぼん
もうこの話題を知っている人は多いと思います。
ベテラン漫才コンビの「おぼんこぼん」さんたちが、険悪の仲だったのに仲直りをしたんですよね。
そしてそれが話題になったこともあって、お客さんもばんばん来ているそうです。
これはすごいことだと思うんですよ。奇跡じゃないですか?
険悪の仲だった長年のつれあいが、仲直りして元に戻るって、珍しいんじゃないですかね。
ほとんどの場合はそのまま修復せずじゃないですか?
だからこそたくさんの人が注目して、ニュースになり、お客さんも戻ってきているんだと思います。
実際、「水曜日のダウンタウン」を見ていて「無理だな」とぼくは何度も思いましたよ。
すごくうれしいニュースです。
ぼくが「水曜日のダウンタウン」を見るまで~生活には笑いが必要~
奥さんはテレビっ子ですが、ぼくはあまりテレビは見ない方です。NHKかお笑いかサッカー日本代表戦か、あとは子供が見ているのを一緒に見るという感じです。
でも十代のころはダウンタウンとウッチャンナンチャンから目が離せなかったですね。
特にダウンタウンを見ながら、毎回こんな面白いものをみないなんて絶対おかしいと思っていましたよ。
まっちゃん、本当にすごい才能ですよ。まっちゃんのおおこけした映画のビデオも買いました。
それでも20代前半で2年以上の旅に出てから、生活ががらっと変わりまして、というのも旅に出ていたらテレビなんか見られないですよね。
基本野宿で2年近く旅していたので。
今流行っている歌とか番組とか、そういう情報が耳に入らなくなるし、むしろいらないんです。
まあ、ともかく生きていくために必要最低限じゃなかったものはぼくの生活から消えたんですね。
それでテレビ自体見ないのでダウンタウンも見なくても平気になってしまったんです。
でもぼくはストイックな感じの生き方にもなっていったので、それもよくないなと30代くらいで思うようになっていきます。
自分には「笑い」が必要だと。
ぼく自身は笑いが好きだし面白いこと言うのも好きなんですけど、「よく考えたら今日笑ってないな」「最近爆笑してないな」と思うことが多くなったんです。
これはまずいと思いました。
笑いは健康にも大切ですよね。体にも心にも。笑いの効果はみなさんも知っていると思います。
こんな話もありますよね。「楽しいから笑うのか。笑うから楽しいのか。」
わざと笑うことで楽しくなるという効果もあるんですよね。
わざとお笑い番組を見るというのは、なんだか無理やりなことかもしれないですが、「笑いが少ない生活を送っているぼく」の何かが不健康なことには違いないです。
お笑い番組を見たからといってすぐにぼくが根本的によくなっていくとは言えないですが、まずはお笑い番組を見ていくことから始めようとしました。
(腹筋くらいは活性化するでしょ)というのりです。
そんなこんなでお笑い番組を録画して見るようになり、子供が生まれ大きくなるにつれて子供の方が見るようになり、ここ数年で一気にお笑いに詳しくなりました。
一時期は「チョコぷらってだれ?」って感じだったんですけどね。
それでも見る番組は限られていて、あんまり見すぎてもほかのことに手がまわらなくなるので、子供が起きている時間の番組程度しか見なかったんですよ。
ところがぼくの友人で映像作家がいるんですが、
「今のテレビは斜陽産業だけど、本当に面白いことやってるプロデューサーは、○○さんと○○さんくらいだよ。」
と言っていて、その一人が「水曜日のダウンタウン」のプロデューサーだと言うんですよ。
それで見てみるかとなったんです。同時に仕事しながらテレビを見るということが最近できはじめていたので、それもあって見始めました。
それなら録画せずに時間のロスなしに自分のタスクを消化できますよね。
水曜日のダウンタウンはほんとに最近ちょろっと見ただけなんですよ。
でもその回がおぼんこぼんを仲直りさせる回だったんですね。それも最後から2番目の回です。
「これは結末を見なくては。」となってぼくの中に火がついてしまいました。
仲が悪くなった二人がよりを戻すということ
正直見ていてすごい失礼だなというか、そこまでやる?と思いながら、見ているこちらの心もえぐられるような気持ちで見ていました。
振り返りを見ると、はじめの方ではいじっているんじゃないかと思える回もありました。人の人生をもてあそんじゃいけないですよね。(まじめですいません)
「これ本当にハッピーエンドになるのか?無理じゃね?それってなんかなにもプラスを生み出さないんじゃない?」
と、ものすごい落ち着かない気持ちで見ていましたが、希望も捨てられず、最終回を絶対見なきゃと思ってしまいました。
そういう方多いんじゃないですか?
ぼくは思うんですよ。これが自分だったらよりをもどせるかと。
コンビと言えば結婚されている方は夫婦関係がコンビですよね。
夫婦関係がうまくいかないというご家庭も多いと思います。ご自分の夫婦関係がおぼんこぼんさんのようにうまくいかなかったら、復活できると思いますか?
おぼんこぼんさんの場合、少なくとも番組の力がなかったら無理でしたよね。また、漫才という共通の表現がなかったら無理でしたよね。
夫婦ならお子さんがいれば「子はかすがい」というように、子供がいるからつながっていられるというご夫婦も少なくないと思います。
ぼくがおぼんこぼんさんを見ていて思ったのは、「相手のせいにしている限りは歩み寄りはない」ということです。
番組が注目し、働きかけて、追跡しているという状況が、おぼんこぼんさんたちを無理やりにでも内省させたんだと思います。
それと娘さんたちの切なる思いも、おぼんこぼんさんたちに強く働きかけたと思います。
向き合うのは結局自分自身だとぼくは思うんです。
自分の心と向き合うということがなければ、決裂した関係を戻すということはできないと思います。
夫婦の間で「相手のせい」「自分が正しい」がないですか?
ぼくは結婚11年目です。夫婦関係は今では安定しています。(ぼくの一方的な思い違いでなければ)
ぼくは、自分の育った環境では両親を含め親族の夫婦関係があまりよくなく、自分が結婚するなら絶対に同じようにはならないようにしようと思っていました。
結果として今はうまくいっています。とても奥さんと神様に感謝しています。
けんかは・・・結婚式前日に大喧嘩したことあります。来ていただく方々の座り方についてもめたんですね。
「前日に?」「そんなことで?」と思うかもしれませんが、めちゃくちゃけんかして、確か奥さんアパートを出ていきました。
結婚式前日に。
まあ、そんな感じでどこにでもあるようなしょーもないけんかをする夫婦だったんですね。
それでもぼくはもともとけんかは好きじゃないので、そもそもけんかは少ないです。
ただ、ある時までは奥さんに対して「そのやり方は間違っている」「おれならこうする」「もっとこうしてほしい」「おれは正しい」と、心の中で思っているところがありました。
そういう姿勢だと人間、どんどん不満がたまっていきますよね。
子供たちは小さいのでその小さい時の親の接し方や家庭のあり方というのは大事じゃないですか。
そう思うとなおさら不満が募ってくるんですよ。
でもぼくはそれでもあまり言わないんです。言えばいいのかもしれません。
ぼく自身、何でも言い合える夫婦というのにあこがれますし、裏がなく言い合える関係ってうらやましいという思いもありました。
でも、言えませんでした。ていうより言わないべきだと思いました。
それは、ぼくの中に相手をバカにしている思いがあると感じていたからなんです。自分がここで何か言ったら明らかに炎上する、ということは分かっていたんです。
「こんなに相手に不満を抱いているって、おれ、本当に正しいのか?いや、正しいとは思う。でも何か違う。」
ぼくは気づいたんです。
「おれは相手を信頼していないんじゃないか?もしも相手を信頼していたら、こんな風に思うはずはない。本当の信頼っていうのは条件付きじゃなくて、何もなくても信頼しているっていう姿勢だよな。たとえ相手が間違いをしていたとしても、信頼していたらこんなえらそうな思いを抱くはずはないじゃないか。」
そして、
「もしもおれがその相手だったら、こんな風に不満を持たれていたら絶対に嫌だし、素直になれないと思う。」
そう思ったんです。
その時からぼくは、「まず相手を信頼する心構えから持とう」ということを意識するようになりました。
思っていることは伝わるもの
すると、なぜか奥さんのぼくに対するリアクションが柔らかくなってきた気がしたんです。
不思議なんです。ぼくは奥さんに対して何か告白したわけでも、宣言したわけでもないです。
ぼくの心境の変化は知らないはずなんですよ。
それなのに明らかに今までの奥さんと違うんです。
それはぼくの方の見え方が変わったからでは?と思うかもしれません。
ぼくもそう思いましたけど、でも前と同じことをしたり、同じことを言ったりしているのに、前はすごい不機嫌にリアクションされたことも、笑顔だったりユーモアたっぷりで返してくれるようになっているんです。
これはすごいことだと思いました。
きっとぼくからにじみ出ているものも、女性だし敏感に感じとっているのかもしれません。でも、ぼくの感じだと奥さんはぼくの変化を意識上で言語化して理解しているのではないと思っています。
それについて「最近、おれ変わったと思う?」と聞こうと思っているのですが、そう思ったまま聞く機会を逸してすでに数年が過ぎています。
ただ一つ言えることは、明らかに夫婦関係が変わったということです。
そしてそれは「相手を信頼しよう」と思ったときを起点に変わっていきました。
つまり、相手を無理やり変える、無理やり自分の思い通りにさせるのではなく、自分を変えることに答えがあったということです。
ぼくは、自分の論理や思想が正しいかどうかではなく、「相手を尊重しているか」「相手を信頼しているか」ということの方が大切であり、自分自身を心の目で見る必要があるということが分かったんです。
それからというもの、ぼくはそういう目をいろいろなところへ向けてみるようにしています。
そういう目で見ていくと、自分が子供や友達、職場の人に実はレッテルをはった見方をしているということに気づいたりします。
みんながバカにしている職場の人を自分も同じようにバカにしているのではないか。
子供を子供だと思ってバカにしているのではないか。
きっと相手にはそれは伝わっています。そしてその相手への見方が変わると、実は相手にもそれが伝わっていくんですね。
おぼんこぼんさんの話に戻りますが、「相手のせいだ」「おれが正しい」という姿勢の中には答えはありません。
自分の中に答えがあります。
そしてそこに気づくためには、自分を見つめる時間、機会が必要です。
内省して自分自身をよく見てみないと、自分が今どんな自分なのかなかなか人は分からないものだとぼくは思います。
おぼんさんこぼんさん、きっと番組に翻弄されて腹もたったこともあったと思いますが、その中でかなり自分を見つめたんだと思います。
見ていると何度か途中でよりが戻るんじゃないかと思えるタイミングがありました。
でもそのたんびに相手の言葉にまたカチンときて、すぐに「もう解散!」みたいになってしまっていました。
「自分から歩みよったら自分の負けだ」「悪いのはお前だから謝れば許してやる」みたいな気持ちですよね。
でも繰り返しているうちに、それと娘さんたちのプッシュがあって、否が応でも自分を見つめざる得なくなって、結局「いい漫才するためにはおれにはお前が必要なんだ」と相手の価値を認めざるを得なくなったんだと思います。
本当に苦しい自分との戦いだったと思います。
そしてとてもいいものをみさえていただきました。
おぼんさん、こぼんさんありがとう!
おしまい
written by SEGE